2015年8月31日月曜日

アウトレット・ハウジング

聞き手Y:山口
受け手M:モントリオールJCPデザイン増本氏 



Y:日本は持ち家を手に入れるとなると、ほとんどの方が新築を選びます。
    そのうち国交省が調査した平成26年の建築着工棟数は、持家(申請者が自己の
    居住用で建てるもの。主に注文住宅)が285,270 戸、分譲一戸建て住宅(事業者が
    販売用に建てるもの。主に建売住宅)が237,428 戸で、半数以上の方が自分好みの
    家を建てているという訳です。では、その注文住宅を希望されている方が、
    どのように情報収集しているかというのを見てみると、


 
 
 
  圧倒的に展示場へ行かれて
    いる方が多いようです。カナダでは、家購入まではどのように進めていきますか。
 

M:まず、話の初めからバックグラウンドが全くことなるようです。
  CMHCにも「ホームバイヤー、ファーストバイヤーへの手引き」のホームページが
  ありますが、注文住宅は全く登場しませんし、建売住宅も第二の選択肢で、
  中古住宅市場がメインです。ですから、家の選び方ルールとして出てくるのも、
  口コミとか、不動産業者とかになります。
 
  ホームバイヤー、ファーストバイヤーへの手引き
 
 
Y:そうですよね~、新築は少ないですよね!
 

M:新築住宅に関して、いくつかのカテゴリーがあって、
   ①カスタムハウス:オリジナル注文住宅
  ②カスタムハウス:ホームビルダー社のプランを選び、それをカスタマイズして
    建てる建売住宅
  ③スペックハウス:speculative Homeホームビルダーが家を建ててから、
     バイヤーを探す住宅(個別建売住宅で建設途中であれば、仕様変更の可能性もある)
  ④トラクトハウス:ホームビルダーが同じ図面を基にして1地区にまとめて建てた住宅

     (土地造成後、大量にまとまって建てられる)
 
 
Y:②は日本には無いかもしれませんね~。建設をお願いする建築会社のプランは
  あるかもしれませんが、どの建築会社でも使えるデザインプランの参考書みたいな
  ものですよね。
  私たちも、これを参考にさせてもらっております。
  こういうものがあるから、建築会社や時代によっても統一された住宅となるのでしょうね。
 
 
M:REALTORSRの全国協会からのデータによると、2014年の中古住宅の
  販売数が、4,940,000戸で、米国勢調査局によると、2014年新築住宅の販売数は、
  437,000戸だったそうです。というわけで、ファーストホームバイヤーに関しては、
  オーダーメイドはほとんどなく、レディメイドですね。また、ファッションになぞられえれば
  『ヴィンテージリメイク』、流行からワンテンポずれるけど、気に入ればお買い得という
  アウトレット タイプでしょうか。
 

Y:注文住宅を購入する世帯数が、中古住宅を買う世帯数の10分の1しかいないのですね
    こんなに差があるのですね~。ここで、国交省が出している注文住宅を取得した
  理由のアンケート調査を見ていただけますか。また、その下は、中古住宅に
  しなかった理由の調査結果です。
 

 
 
 

  これが、注文住宅を選択した理由と中古住宅にしなかった理由になります。
  『新築が気持ちいいから』という理由が1番多いですね。この選択理由は、
  カナダの方には無いでしょうね~。どんな理由で、お家を選ばれるのでしょうか。

 


M:やはり、場所だと思います。ファーストバイヤーは勤労者ですから、働く場所と
  住む場所が近いところを望むことから、街中の新しいコンドミニアムビルディングか
  Resaleの家にするか。家の場合も戸建て住宅、プレックス、タウンハウス、
  プレックスのコンドミニアムと種類があります。

  交通やコミュニティの便を選ぶか、車で1~1.5時間の郊外(大体150㎞)の新築住宅を
  買って朝晩の車の渋滞に耐えるか。その場合、日本のようにかなり郊外まで電車が
  走っている環境ではなく車社会ですから、家族一人に1台は車が必要になります。
  ですから、注文住宅はそういう生活をしなくても済む人たち、例えば
  エンプティネスターや田舎の町で働く人、街中にマンションを買って週末は田舎の
  自分の家で過ごせる人、になる訳です。
 
  家を探す人はオンラインで情報を検索しますからHow toものがいっぱいあります。
  また自分の家を建てられる人でも、必ず転売することを念頭に入れているので、
  あまり自分流の趣味の家を作ってしまうと家の価値が下がると注意してます。
 
Y:家を建てるというより、オンラインで家を探すという感覚なのですね!
 

M:ホームバイヤーが望む10ヶ条というのがありました。
  ホームバイヤーが望む10ヶ条

  最終的に、上記のサイトにあるような条件と、自分の条件の折り合いがついた物件を
  選びます。それから、新築かリセールかという順番で選ぶのが多いと思います。
  何より、家選びは、『location!location!location!』です。