聞き手Y:山口
受け手M:モントリオールJCPデザイン増本氏
Y: 先日、照明の新商品の展示会へ行って参りました。照明もハイテク化が進んでおり、
携帯で遠隔操作が出来るような時代が来ていることを知りました。
便利な時代ですよね~。ただこのハイテク化には、ただ便利であることや
節電ということだけではないようです。読書に合った配光配色。絵を美しく見せる
ための配光配色。映画を見るための配光配色。それぞれのシーンに合わせた、
ベストな明かりの状態を選ぶことが出来るような機能も付いているようです。
それだけ、明かりの演出は重要だという事ですね。
M:そうですね。こちらでも、最近はタッチパネルひとつで家中の灯りの具合を調節
できる機器が売れているようです。
Y:それにしても、日本とカナダでは部屋の明るさが違いますよね。カナダの方たちは
照明計画を考えるとき、どういう事に重点を置いてみえますか。
M:日本は全体照明が主役で、デスク用の灯りを部分的に補足していく感覚で照明計画
をすると思いますが、カナダでは一つの照明ですべてをまかなうのではなく、
『Task light(日本でいうデスク用照明)+Accent
light(アクセント照明)』が
照明の主役で、Ambient light(全体照明)が足らない明るさを補足するという感覚
で照明計画をする点に違いがあると思います。
Y:確かに、海外のお部屋の照明は、全体的には暗い印象ですが、ベッドの両脇に置く
照明なんて素敵ですよね~しかも、ベッドで本を読むための明るさもしっかり確保
できるので、何日か泊まると、この明るさが心地よくすら感じます。
M:どうしてこのような『あかり』に対する感覚が違うかを考えると、家の建て方が
違うからではないでしょうか。日中天気のいい日に戸外から室内に入ってもさほど
差のない明るさが得られる日本家屋と、ドアを閉めるとかなりの日光が遮断される
石造りのこちらの家を比べると、『木や紙の文化のあかり』と『石の文化のあかり』
に対して異なった感覚を養ってきたと思います。
Y:日本には、障子があって戸を閉めていてもあかりを確保出来るので、部屋全体が
明るいということに慣れてきたという事でしょうか。
M:そうですね。例えば、Ambient lightは部屋でなされるアクティヴィティが必要と
される明かりの量の3分の1をまかなうようになっていて、こちらでは、これが
不自由を感じない明るさだそうです。それ以上の明るさを必要とする場所には
Task lightで補うので、部屋の中で明かりのニュアンスにバリエーションが
生まれますね。
Y:だから、カナダを訪れたときに部屋が暗く思えたのですね。
M:ただ、こちらでも照明の進化によって、生活空間は飛躍的に明るくなり、
照明デザインも選択肢が増えたとあります。ある記事によると、全体の30%の
明るさのAmbient lightを心地よく感じる世代と異なる新しいニーズがあると
ありました。若い世代の家では、蛍光灯やLEDが多いという記事も目にします。
Y:それは意外ですね~
M:全体的な明るさを心地よいと思う日本人的明かりへの志向も見られるようになって
来たようですよ。
Y:そうなのですね!だから、日本でもカナダでもどの世代でも共通して使える、明かり
を自分好みに調整できる照明器具が誕生したのでしょうね。
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